【音声配信】スバル インプレッサ歴代モデルの概要
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目次
スバル インプレッサの概要
スバル インプレッサは、1992年の初代モデルデビュー以来、スバルのクルマづくりの根幹を成す「シンメトリカルAWD」と「水平対向エンジン」という独自のコア技術を、より多くの人々に提供してきた、ブランドを象徴するコンパクトカーです。その卓越した走行安定性と安全性、そして「安心と愉しさ」というスバルならではの価値は、国内外で高く評価され、特にWRC(世界ラリー選手権)での輝かしい戦歴は、インプレッサの名を世界に轟かせ、高性能なイメージを確固たるものとしました。
歴代インプレッサは、実用的なセダンやハッチバック(スポーツワゴン含む)のボディに、スバルの最新技術を惜しみなく投入し、常に進化を続けてきました。デザインは時代と共に洗練され、近年では先進安全運転支援システム「アイサイト」の搭載により、クラストップレベルの安全性能も追求。日常の扱いやすさと、いざという時の頼もしさ、そして運転する愉しさを高次元でバランスさせた、スバルの良心と技術力が凝縮された一台と言えるでしょう。
スバル インプレッサの歴代モデル概要
初代 インプレッサ (GC/GF系)
- 販売期間:1992年11月 – 2000年8月
- 型式:GC系 (セダン), GF系 (スポーツワゴン)
- 特徴:
- レオーネの後継として、より若々しくスポーティなイメージを前面に打ち出して登場。コンパクトなボディに、スバル伝統の水平対向エンジンとシンメトリカルAWD(一部FFモデルも設定)を搭載し、優れた走行安定性と操縦性を実現しました。
- ボディタイプは、4ドアセダンと実用的な5ドアスポーツワゴンを設定。特にスポーツワゴンは、その後のステーションワゴンブームの先駆けとも言える存在でした。
- この世代のハイライトは、何と言ってもWRC参戦ベース車両として開発された「WRX」シリーズの登場です。高性能なEJ20型ターボエンジンを搭載し、ラリーフィールドで大活躍。その圧倒的なパフォーマンスは、インプレッサ、そしてスバルブランドのスポーツイメージを世界的に確立しました。
- 日常ユース向けの1.5L、1.6L、1.8L、2.0LのNAエンジン搭載車も、AWDによる安定した走りで高い評価を得ました。
2代目 インプレッサ (GD/GG系)
- 販売期間:2000年8月 – 2007年6月
- 型式:GD系 (セダン), GG系 (スポーツワゴン)
- 特徴:
- 「ニューエイジ・インプレッサ」として、プラットフォームを一新し、ボディ剛性や衝突安全性能を大幅に向上させた2代目。エクステリアデザインは、初期の丸型ヘッドライト(通称:丸目)から、中期(涙目)、後期(鷹目)へとマイナーチェンジごとに大きく変更され、それぞれのデザインが話題となりました。
- ボディタイプは、引き続き4ドアセダンと5ドアスポーツワゴンを設定。インテリアも質感を向上させ、より快適な移動空間を提供しました。
- パワートレインは、EJ型水平対向エンジン(1.5L、2.0L NA、2.0Lターボ)を搭載。「WRX」および「WRX STI」は、ターボエンジンの改良や不等長エキゾーストマニホールドによる独特のボクサーサウンドと共に、その高性能ぶりをさらに進化させ、WRCでの活躍を支えました。
- この世代は、デザインの変遷と共に、走行性能や安全性の面でも着実な進化を遂げ、スバルのコアモデルとしての地位を不動のものとしました。
3代目 インプレッサ (GE/GH/GR/GV系)
- 販売期間:2007年6月 – 2011年11月 (WRX STIセダン(GVB/GVF)は2014年まで)
- 型式:GE系 (セダン「アネシス」), GH系 (5ドアハッチバック), GR系 (WRX STI 5ドアハッチバック), GV系 (WRX STI 4ドアセダン)
- 特徴:
- 「アクティブスタイリング、コンフォートドライビング」をテーマに、従来のスポーツワゴンに代わり、よりスタイリッシュで実用的な5ドアハッチバックをメインボディとし、4ドアセダンは「インプレッサ アネシス」として、また高性能モデル「WRX STI」のベースとして展開されました。サッシュドア(窓枠付きドア)の採用も、この世代からの変更点です。
- 新開発プラットフォームと、リアサスペンションへのダブルウィッシュボーン式の採用により、操縦安定性と乗り心地が大幅に向上。より上質で快適な走りを実現しました。
- パワートレインは、1.5L「EL15型」、2.0L「EJ20型」(NAおよびターボ)の水平対向エンジンを搭載。トランスミッションは5MTおよび4AT/E-4AT(電子制御4速AT)。
- 高性能モデルである「WRX STI」は、この世代から標準のインプレッサとは異なるワイドボディを採用(GRB/GVB型)するなど、そのキャラクターをより先鋭化させました。この頃から「WRX」という名称が、より独立した高性能ブランドとしての色合いを強めていきます。
4代目 インプレッサ (GJ/GP系)
- 販売期間:2011年12月 – 2016年10月
- 型式:GJ系 (セダン「G4」), GP系 (ハッチバック「SPORT」)
- 特徴:
- 「New Value Classy Sport Compact」をコンセプトに、デザイン、環境性能、安全性能、そして走行性能の全てを新次元へと進化させた4代目。この世代から、セダンは「インプレッサG4」、ハッチバックは「インプレッサSPORT」というサブネームが与えられました。
- 最大のトピックは、新世代の水平対向エンジン「FB型」(1.6L「FB16型」、2.0L「FB20型」)と、新開発の「リニアトロニックCVT」の全面採用です。これにより、走行性能と燃費性能が大幅に向上しました。
- そして、スバルの先進安全運転支援システム「EyeSight(ver.2)」が初めて搭載されたことも、この世代の大きな特徴です。2つのカメラで前方状況を認識し、衝突被害軽減ブレーキや全車速追従機能付クルーズコントロールなどを実現。その高い安全性は、多くのユーザーから絶大な信頼を得ました。
- 内外装の質感も大幅に向上し、より上質で洗練されたコンパクトカーへと進化。この4代目インプレッサをベースとしたクロスオーバーSUV「XV」(後のクロストレック)も登場し、人気を博しました。この世代から「WRX」は完全に独立した車種となります。
5代目 インプレッサ (GK/GT系)
- 販売期間:2016年10月 – 2023年3月
- 型式:GK系 (セダン「G4」), GT系 (ハッチバック「SPORT」)
- 特徴:
- スバルの次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM(SGP)」を初めて採用した量産モデルとして登場。「安心と愉しさを新たな次元へ」をテーマに、動的質感と安全性能を飛躍的に向上させました。
- エクステリアは、スバルのデザインフィロソフィー「DYNAMIC × SOLID」を具現化し、よりスポーティで彫りの深い、洗練されたスタイリングへと進化。インテリアも、素材の質感や細部の造形にこだわり、クラスを超える上質感を追求しました。
- SGPの採用により、ボディ剛性が大幅に向上し、優れた操縦安定性、乗り心地、そして静粛性を実現。パワートレインは、改良型の1.6L「FB16型」および2.0L直噴「FB20型」水平対向エンジンにリニアトロニックCVTを組み合わせました。
- 安全性能では、進化した「EyeSight(ver.3)」を全車標準装備。さらに、国産車として初めて歩行者保護エアバッグを全車標準装備するなど、世界トップレベルの安全性能を目指しました。その総合的な完成度の高さから、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
6代目 インプレッサ (GU系 – 日本国内)
- 販売期間:2023年4月 – 現在 (2025年6月時点)
- 型式:GU系 (5ドアハッチバック)
- 特徴:
- 「行動的なあなたと気持ちよく走りだせる、頼れる身近な存在」をコンセプトに、日本国内市場では5ドアハッチバックモデルに一本化してフルモデルチェンジ(実質的には5代目の大幅改良とも言えるが、スバルはフルモデルチェンジと位置付け)。従来の「SPORT」のサブネームは廃止され、単に「インプレッサ」となりました。
- エクステリアデザインは、先代のスポーティさを継承しつつ、よりシャープでアグレッシブな印象を強調。フロントマスクは、ヘキサゴングリルと切れ長のLEDヘッドランプが特徴的です。インテリアは、大型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムを採用し、先進性と使いやすさを向上。
- プラットフォームは、SGPをさらに進化させ、フルインナーフレーム構造の採用や構造用接着剤の適用範囲拡大などにより、ボディ剛性と静粛性を一層高めています。サスペンションも改良され、より上質でスポーティな乗り味を実現。
- パワートレインは、2.0L水平対向4気筒直噴エンジン「FB20D型」と、同エンジンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド「e-BOXER」をラインナップ。トランスミッションはリニアトロニックCVTが組み合わされます。
- 安全性能では、視野角を大幅に拡大した最新世代の「EyeSight」を全車標準装備。広角単眼カメラも追加(一部グレード)され、より幅広いシーンでの衝突回避をサポート。コネクティッドサービス「SUBARU STARLINK」にも対応。この6代目は、伝統の走りと安全性をさらに磨き上げ、新時代のスタンダードコンパクトとしての価値を追求しています。