【音声配信】トヨタ ルーミー歴代モデルの概要
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目次
トヨタ ルーミーの概要
トヨタ ルーミーは、2016年11月のデビュー以来、日本のコンパクトカー市場において「小さなボディに、驚きの広さと使い勝手」という明快な価値提案で、瞬く間に人気モデルの地位を確立したトールワゴンです。全長約3.7メートルという取り回しの良い5ナンバーサイズでありながら、それを感じさせない圧倒的な室内空間と、両側スライドドア(一部グレード除く)がもたらす優れた乗降性を実現。「1LD-CAR(ワンエルディー・カー)」というコンセプトが示す通り、まるでリビングのようにくつろげる快適な移動空間を追求しています。
その魅力の核心は、ダイハツが開発・生産を担当する(兄弟車はダイハツ トール)巧みなパッケージング技術と、日常のあらゆるシーンで真価を発揮する実用性の高さにあります。特に子育てファミリーを中心に、限られたスペースを最大限に活かす効率性と、都市部での運転のしやすさを重視する多くのユーザーから絶大な支持を獲得。2020年には兄弟車「タンク」を統合し、トヨタのコンパクトトールワゴンの代表格として、その存在感を一層強固なものにしています。
トヨタ ルーミーの歴代モデル概要
初代 ルーミー (M900A/M910A型)
- 販売期間:2016年11月 – 現在 (2025年5月時点)
- 型式:M900A (FF), M910A (4WD)
- 特徴:
- 「1LD-CAR(ワン・エル・ディー・カー)」というユニークなコンセプトを掲げ、リビングやダイニングのように広々としてくつろげる室内空間を、全長約3.7メートルというコンパクトな5ナンバーサイズに実現。ダイハツの得意とするスモールカーづくりのノウハウが惜しみなく投入されました。
- エクステリアは、箱型フォルムを活かした効率的なパッケージングを追求しつつ、標準モデルは親しみやすさを、そして「カスタム」グレードは大型グリルや専用バンパーにより、精悍で上質なイメージを演出。多彩なボディカラーも魅力の一つでした。
- インテリアの最大の特長は、その圧倒的な広さと使い勝手の良さ。フラットなフロアと高い天井が生み出す開放感、多彩なシートアレンジ(リアシートのダイブイン格納など)、豊富な収納スペース、そして何よりも両側パワースライドドア(一部グレードに標準またはオプション)がもたらす優れた乗降性は、特に小さなお子様を持つファミリー層から高く評価されました。
- パワートレインは、当初1.0L 3気筒自然吸気エンジン「1KR-FE」型と、同ターボエンジン「1KR-VET」型の2種類を設定。トランスミッションは全車CVTが組み合わされ、FFと4WDが用意されました。ターボモデルは、コンパクトなボディに十分な動力性能をもたらしました。
- 安全性能においては、衝突回避支援システム「スマートアシストII」(当時のトヨタセーフティセンスCに相当する機能を含む)を多くのグレードに設定。衝突警報機能、衝突回避支援ブレーキ機能、誤発進抑制制御機能(前後方)、車線逸脱警報機能などを備えていました。
- 主な改良・出来事:
- 2020年9月:大幅マイナーチェンジと兄弟車「タンク」との統合
- これまでトヨタブランドで併売されてきた兄弟車「タンク」をルーミーに統合し、ラインナップを一本化。これにより、ルーミーのキャラクターがより明確になりました。
- エクステリアデザインを大幅に刷新。標準モデルはよりアクティブな印象に、カスタムグレードはフロントグリルをさらに大型化し、メッキ加飾を増やすなどして、存在感と上質感を一層高めました。
- インテリアも、シート表皮の変更や加飾の追加などで質感を向上。一部グレードには9インチディスプレイオーディオが設定されるなど、コネクティビティも強化されました。
- 安全性能が大幅に進化し、予防安全機能「スマートアシスト」に夜間の歩行者検知や追従走行を支援するアダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付)、レーンキープコントロールなどが追加(グレード別設定)。駐車支援ブレーキ(前後方静止物)も採用されました。
- 電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能が一部上級グレードに採用され、利便性が向上しました。
- 2023年~2024年:認証不正問題による影響
- 開発・生産を担当するダイハツ工業において認証申請における不正行為が発覚し、ルーミー(兄弟車のトール含む)も対象車種として生産・出荷が一時停止される事態となりました。この問題は、多くのユーザーに不安を与え、自動車業界全体の信頼性確保が改めて問われることとなりました。
- その後、国土交通省による調査・確認、そしてダイハツ工業による再発防止策の実施などを経て、2024年中には順次生産・出荷が再開されています(2025年5月時点の状況として、市場の信頼回復に向けた取り組みが継続されています)。自動車評論家としては、この一連の出来事が今後のダイハツおよびトヨタのクルマづくりにどのような影響を与えるか、引き続き注視していく必要があります。
- 現在も、細かな年次改良や特別仕様車の設定などにより、商品力の維持・向上が図られています(2025年5月時点)。
- 2020年9月:大幅マイナーチェンジと兄弟車「タンク」との統合