【音声配信】スズキ ソリオ歴代モデルの概要
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目次
スズキ ソリオの概要
スズキ ソリオは、日本の自動車市場において「ちょうどいい」という絶妙なサイズ感と、それを超える広大な室内空間および優れたユーティリティで独自のポジションを築き上げてきた、まさに才気煥発なコンパクトトールワゴンです。軽自動車では少し手狭、しかし本格的なミニバンまでは必要ないという、多くのファミリーやシニア層の潜在的なニーズを見事に捉え、日常の使い勝手の良さを徹底的に追求してきました。
歴代ソリオを貫くのは、スズキが得意とするコンパクトカーづくりのノウハウを凝縮し、「小さなクルマ、大きな満足」を提供するという真摯な姿勢です。取り回しの良い5ナンバーサイズボディに、乗降性に優れた両側スライドドア(多くの世代で採用)、多彩なシートアレンジ、そして時代と共に進化する燃費性能と安全技術を搭載。ソリオは、日本の生活環境にジャストフィットし、日々の暮らしを豊かにする賢明なパートナーとして、確固たる人気を誇り続けているのです。
スズキ ソリオの歴代モデル概要
スズキ ソリオは、その前身である「ワゴンRワイド」や「ワゴンRソリオ/プラス」の時代から数えると、四半世紀以上にわたり、日本のコンパクトカー市場において「小さなクルマ、大きなスペース」という独自の価値を提供し続けてきました。特に2000年代後半以降、「ソリオ」として独立した車種となってからは、軽自動車では少し物足りない、しかし本格的なミニバンは大きすぎると感じるファミリー層やシニア層の絶妙なニーズに応え、独自の「コンパクトトールワゴン」または「プチバン」というべき市場を切り拓き、確固たる地位を築いています。ここでは、その歴代ソリオの歩みを詳細にご紹介しましょう。
初代 ソリオ(ワゴンRソリオ/ワゴンRプラス時代を含む MA63S/MA64S/MA34S系)
- 販売期間:1999年5月 – 2010年12月(ワゴンRプラスとして1999年登場、2000年にワゴンRソリオへ改称、後にソリオへ。MA34Sは2005年頃~)
- 型式:MA63S (ワゴンRプラス 1.0L), MA64S (ワゴンRソリオ 1.3L), MA34S (ソリオ 1.3L) など
- 特徴:
- 軽自動車のワゴンRをベースに、ボディサイズを小型乗用車枠(5ナンバー)へと拡大し、より広い室内空間と余裕のある走りを実現したモデル群。「ワゴンRプラス」として1.0Lエンジンで登場後、2000年に1.3Lエンジンを搭載した「ワゴンRソリオ」へと進化し、さらに後期には「ソリオ」として独自の道を歩み始めました。
- エクステリアは、ワゴンRの面影を残しつつも、ワイドなボディと専用デザインにより、安定感と存在感を向上。インテリアは、トールなキャビンを活かした広々とした空間と、多彩なシートアレンジが魅力でした。
- パワートレインは、当初1.0L直列4気筒「K10A」型エンジン(ワゴンRプラス)、後に1.3L直列4気筒「M13A」型エンジン(ワゴンRソリオ/ソリオ)を搭載。トランスミッションは主に4速ATが組み合わされました。
- この時代は、まだ「ソリオ」というブランドが確立される過渡期でありながら、軽自動車からのステップアップユーザーや、コンパクトで使い勝手の良いクルマを求める層に、新たな選択肢を提示した点で重要な役割を果たしました。
2代目 ソリオ (MA15S型)
- 販売期間:2011年1月 – 2015年8月
- 型式:MA15S (FF/4WD)
- 特徴:
- 「GooD Size Compact!(グッドサイズコンパクト!)」をコンセプトに、先代からプラットフォームを一新し、車名を正式に「ソリオ」としてフルモデルチェンジ。ワゴンRの派生ではなく、完全に独立したコンパクトトールワゴンとして生まれ変わりました。
- エクステリアデザインは、よりクリーンでモダンな印象に。スクエアなボディ形状と高い全高により、コンパクトながら広大な室内空間を実現。この世代から、多くのグレードで両側スライドドア(一部パワースライドドア)が採用され、乗降性と利便性が飛躍的に向上しました。
- インテリアは、フラットなフロアとウォークスルー可能なセンター通路(一部グレード)、そして多彩なシートアレンジが特徴。後席の足元空間も広く、大人5人が快適に過ごせる空間を追求しました。
- パワートレインには、新開発の1.2L直列4気筒「K12B」型エンジンとCVTを組み合わせ、スムーズな加速と優れた燃費性能を両立。アイドリングストップシステムも一部グレードに搭載されました。
- 2012年6月には、専用のエアロパーツや精悍なフロントマスクを持つ派生モデル「ソリオ バンディット」が追加され、より個性的でスポーティなスタイルを好む層からも高い支持を得ました。この2代目ソリオの成功が、現在のソリオのキャラクターを決定づけたと言えるでしょう。
3代目 ソリオ (MA26S/MA36S/MA46S型)
- 販売期間:2015年8月 – 2020年11月
- 型式:MA26S (ガソリン FF/4WD), MA36S (マイルドハイブリッド FF/4WD), MA46S (ストロングハイブリッド FF)
- 特徴:
- 「コンパクトなのに、ビッグキャビン。」をテーマに、新開発の軽量高剛性プラットフォームを採用し、さらなる室内空間の拡大と走行性能の向上を実現した3代目。全長とホイールベースを延長しつつ、取り回しの良さは維持しました。
- エクステリアは、より伸びやかで安定感のあるデザインに。標準モデルと「ソリオ バンディット」で明確なキャラクター分けがなされ、バンディットはLEDヘッドランプや専用グリルで存在感を高めました。
- この世代の最大のトピックは、パワートレインの電動化です。従来の1.2L「K12C」型デュアルジェットエンジン搭載車に加え、ISG(モーター機能付発電機)を用いたマイルドハイブリッドシステム(MA36S型)を多くのグレードに搭載。さらに、2016年11月には、駆動用モーターとオートギヤシフト(AGS)を組み合わせたスズキ独自のストロングハイブリッドシステム(MA46S型、FFのみ)も追加され、優れたEV走行性能と高い燃費性能を実現しました。
- 室内は、ウォークスルー可能なセンター通路や後席センターアームレスト(一部グレード)、そして多彩なシートアレンジと豊富な収納スペースで、使い勝手を徹底的に追求。安全性能では、ステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」などを備えた先進安全技術を搭載(グレード別設定)。
4代目 ソリオ (MA27S/MA37S型)
- 販売期間:2020年12月 – 現在 (2025年6月時点)
- 型式:MA27S (ガソリン FF/4WD), MA37S (マイルドハイブリッド FF/4WD)
- 特徴:
- 「GOODパフォーマンスコンパクト」をコンセプトに、先代で好評だったパッケージングやユーティリティをさらに磨き上げ、快適性、安全性、そして走行性能を全方位で進化させた4代目。日本の家族の生活に寄り添う「ちょうどいい」コンパクトトールワゴンの理想形を追求しています。
- エクステリアデザインは、標準モデルがより上質で親しみやすい表情に、そして「ソリオ バンディット」は薄型LEDヘッドランプと大型フロントグリル、専用エアロパーツにより、さらに精悍でスタイリッシュな印象を強めています。ボディサイズは、全長を80mm(バンディットは70mm)、全幅を20mm拡大(5ナンバー枠は維持)し、特に荷室空間の拡大に貢献。
- インテリアは、水平基調のインパネデザインと大型9インチHDディスプレイナビゲーション(メーカーオプション)の採用により、視認性と操作性を向上。後席の快適性も高められ、スリムサーキュレーター(一部グレード)やセンターアームレスト、USB電源ソケットなどを装備。静粛性も大幅に向上しています。
- パワートレインは、1.2L「K12C」型デュアルジェットエンジンと、同エンジンにISGを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムをラインナップ。CVTも改良され、よりスムーズで効率的な走りを実現。ストロングハイブリッドは一旦ラインナップから外れましたが、マイルドハイブリッドの完成度が高められています。
- 安全性能では、予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」がさらに進化。夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」に加え、アダプティブクルーズコントロール(ACC)[全車速追従機能付]、車線維持支援機能、標識認識機能などを搭載(グレード別設定)。カラーヘッドアップディスプレイ(一部グレード)も採用し、運転支援機能が大幅に充実しました。この4代目は、まさにスズキのコンパクトカーづくりの集大成であり、多くのファミリーにとって頼れる一台となっています。