【音声配信】トヨタ ヤリス歴代モデルの概要
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目次
トヨタ ヤリスの概要
トヨタ ヤリスは、日本国内で初代から3代にわたり「ヴィッツ」として広く親しまれてきたコンパクトカーの後継モデルです。2020年2月のフルモデルチェンジを機に、グローバルで統一されている「ヤリス」へと車名を変更し、実質的な4代目として新たなスタートを切りました。「軽く、小さく、扱いやすく」というヴィッツの基本理念を継承しつつ、これを深化させています。
トヨタ ヤリスの歴代モデル概要
初代 ヴィッツ (XP10系)
- 販売期間:1999年1月 – 2005年2月
- 型式:SCP10 (1.0L), NCP10 (1.3L FF), NCP13 (1.5L RS FF), NCP15 (1.3L 4WD) など
- 特徴:
- トヨタの新しいグローバル戦略車として、従来のスターレットの後継車種として登場。「21世紀のコンパクトカーのスタンダード」を目標に掲げ、設計・生産されました。
- 当時のコンパクトカーの常識を覆す、効率的なパッケージングによる広い室内空間と、個性的で親しみやすい内外装デザインが特徴。特にセンターメーターレイアウトは斬新でした。
- エンジンラインナップは、当初1.0L直列4気筒エンジン(1SZ-FE)を搭載。後に1.3L(2NZ-FE)、スポーティグレード「RS」には1.5L(1NZ-FE)が追加されました。ボディタイプは3ドアと5ドアが設定されました。
- 安全性と基本性能の高さが評価され、1999-2000日本カー・オブ・ザ・イヤーおよび欧州カー・オブ・ザ・イヤーを国産車として初めて同時受賞する快挙を成し遂げました。
2代目 ヴィッツ (XP90系)
- 販売期間:2005年2月 – 2010年12月
- 型式:KSP90 (1.0L), SCP90 (1.3L), NCP91 (1.5L FF), NCP95 (1.3L 4WD)
- 特徴:
- プラットフォームを一新し、初代からボディサイズを全体的に拡大。これにより、居住空間のさらなる拡大と衝突安全性能の大幅な向上が図られました。
- エクステリアは初代のイメージを踏襲しつつ、よりダイナミックで洗練されたデザインに進化。インテリアも質感を向上させ、使い勝手の良い収納スペースなどが設けられました。
- エンジンは1.0L(1KR-FE)、1.3L(2SZ-FE、後に2WD車は1NR-FEへ変更)、1.5L(1NZ-FE)を搭載。トランスミッションは主にSuper CVT-i(自動無段変速機)が組み合わされました。
- スポーティグレード「RS」は引き続き設定され、専用の内外装、専用チューニングサスペンション、パドルシフト付きCVT(1.5L車)などが与えられました。
- 日本国内では5ドアボディに一本化されました(海外市場では3ドアも存在)。スマートエントリー&スタートシステムなど、上級車種に採用されていた装備も導入されました。
3代目 ヴィッツ (XP130系)
- 販売期間:2010年12月 – 2020年3月
- 型式:KSP130 (1.0L), NSP130/NSP135 (1.3L), NCP131 (1.5L RS/GR), NHP130 (ハイブリッド)
- 特徴:
- 「コンパクトカーの新たな価値の創出」を開発テーマとし、デザイン、走行性能、環境性能、安全性能の各領域で進化を追求しました。全長は拡大されましたが、最小回転半径はクラストップレベルを維持。
- エクステリアデザインは、よりシャープでダイナミックな印象を強めました。インテリアも機能性とデザイン性を両立させ、質感の向上が図られました。
- パワートレインは、1.0L、1.3L、1.5Lのガソリンエンジンに加え、2017年の大幅なマイナーチェンジで待望の1.5Lハイブリッドシステム搭載モデルが追加。優れた燃費性能を実現しました。
- 安全装備面では、2015年のマイナーチェンジから衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を導入(グレード別設定)。
- スポーティモデルとして「RS」に加え、後期にはTOYOTA GAZOO Racingが手がける「GR SPORT」や、より本格的な「GR SPORT “GR”」(後に「GR」へ改称)もラインナップされ、走りの選択肢が広がりました。
4代目 ヤリス (XP210系)
- 販売期間:2020年2月 – 現在
- 型式:
- MXPH10, MXPH15 (1.5L ハイブリッド)
- MXPA10, MXPA15 (1.5L ガソリン)
- KSP210 (1.0L ガソリン)
- 特徴:
- 3代続いた「ヴィッツ」からグローバルネームである「ヤリス」へと日本国内でも車名を変更し、フルモデルチェンジ。実質的な4代目として、「軽く、小さく、扱いやすく」という基本理念をTNGA思想に基づき、より高い次元で具現化しました。
- コンパクトカー向けの新開発プラットフォーム「GA-B」をトヨタ車として初採用。軽量でありながら高剛性なボディと低重心設計により、優れた操縦安定性と上質な乗り心地、そしてドライバーの意のままに応えるレスポンスの良さを実現しました。
- エクステリアは「B-Dash!」をコンセプトに、凝縮された力強さと俊敏さを表現するデザインを採用。インテリアもドライバー中心のレイアウトと質感の高い素材で、運転に集中できる空間と快適性を提供。
- パワートレインは、新開発の1.5L直列3気筒「ダイナミックフォースエンジン」(M15A-FKS型)、改良型1.0L直列3気筒エンジン(1KR-FE型)、そしてこれらをベースにした新世代1.5Lハイブリッドシステムを設定。ハイブリッド車はクラストップレベルの低燃費を達成。
- 1.5Lガソリン車には、発進用ギアを備えたCVT「Direct Shift-CVT」と6速マニュアルトランスミッション(6MT)を設定し、走りの楽しさを追求。
- 最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備(一部グレード除く)。右左折時の対向直進車や横断歩行者検知機能、トヨタ初の高度駐車支援システム「Toyota Teammate Advanced Park」(メーカーオプション)など、先進安全技術を多数採用。
- ハイブリッド車には、電気式4WDシステム「E-Four」も設定し、多様な路面状況に対応。
- 主な出来事・改良:
- 2020年9月:WRC(世界ラリー選手権)参戦のベース車両として開発されたハイパフォーマンスモデル「GRヤリス (GXPA16/MXPA12型)」を発表・発売。専用設計の1.6L 3気筒ターボエンジン(G16E-GTS型)、新開発スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」、軽量高剛性な3ドアボディを採用。
- 2022年8月:一部改良を実施し、装備の充実化が図られました(例:ドライブレコーダー付自動防眩インナーミラーのオプション設定拡大など)。
- 2024年1月:初の大規模な一部改良を実施。
- エクステリアデザインをリフレッシュし、フロントバンパーやラジエーターグリルの意匠を変更。
- インテリアの質感を向上させ、一部グレードでメーターをフル液晶ディスプレイに変更。ディスプレイオーディオの画面サイズも大型化されました。
- 予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の機能を向上。検知対象の拡大など、より安心な運転を支援。
- コネクティッドナビ対応のディスプレイオーディオPlusを設定。
- 外板色に新色を追加し、一部カラーラインナップを刷新。
- GRヤリスも同時期に大幅な進化型を発表。エンジン出力の向上(日本仕様304PS)、新開発8速AT「GR-DAT」の追加、コックピットデザインの刷新、冷却性能の向上など、多岐にわたる改良が施されました。