返納意向の実態
高齢化が進む社会で、自動車運転の安全性と生活利便をどう両立するかは大きな課題です。株式会社NEXERと合宿免許in静岡が全国686人を対象に実施したアンケートでは、33.1%が「将来的に運転免許返納を考えている」と回答しました。返納を決めるきっかけとしては「運転が難しくなったと感じたら」が64.8%で最多。年齢で返納を決める人は30%、「70~74歳」が返納予定のボリュームゾーンでした。家族への返納勧奨経験は16.3%にとどまり、周囲との調整の必要性も浮き彫りになっています。
実感と葛藤が交錯する返納への道
アンケート結果を見て、まず印象的だったのは「自分の運転に自信がなくなった時点での返納」という考え方です。年齢という客観的な指標よりも、本人の実感を重視する声が大多数を占めている点に、安心感と自律性を求める人々の姿勢が表れている気がします。
一方で「返納したら生活が不便になる」という不安も根強く、特に地方在住者の戸惑いは深刻です。身分証明としての免許を手放したくない声もあり、返納後の代替手段の用意が急務であることを実感しました。
家族への勧めに対する反応にも温度差があり、「話を切り出しにくい」「反発された」など、コミュニケーションの難しさも見逃せません。安全確保と生活利便のバランスを取るためには、本人だけでなく家族や地域全体での理解と支援が不可欠だと感じます。
今後は、公共交通や送迎サービスの利用促進を含めた環境整備と、早めの家族内での話し合いが重要になりそうです。返納はゴールではなく、新たな安全移動のスタートと捉えたいですね。