ランクル300が遂に電動化
「ランドクルーザー300」に待望のハイブリッドモデルが登場した。レクサスLXと同型のツインモーター式ハイブリッドシステムを採用し、WLTCモード燃費約9.2km/L、最大トルク790N·mを発揮。エンジンとミッション間にクラッチ付きモータージェネレーターを挿入するシンプルな構成により、10速ATや2スピードトランスファー、センターデフやアクスルデフロックなど4WD機構は継承。従来モデルは軽量高剛性フレームとアルミパネルで200kg軽量化を実現したが、ハイブリッド化で重量は増加。しかし電動モーターの滑らかな吹け上がりとハイパワーなトルクは、ガソリン車の扱いやすさとディーゼル性能を上回る走破性を両立させている。
実力派ハイブリッドの光と影
「ランクル300ハイブリッド」は圧倒的トルクと燃費性能を両立し、悪路での電動アシストが加わることで従来機構を超える走破性を実現した点に感心しました。エンジンとATのあいだにクラッチ付きモーターを挟むシンプルなハイブリッド構成は、伝統のフルタイム4WDシステムを守りつつ電動化を可能にした、まさに職人技です。
しかし重量増によるスタックリスクや、追加システムによる故障要因の増加は無視できません。河渡り時の姿勢や、長期の過酷環境での耐久性に影響がないか、実際の使用条件で検証してほしいと思います。
一方で、街乗りでの静粛性向上と、クロールコントロール時の繊細なトルク制御は大きなアドバンテージ。低速トルクをモーターで滑らかに発生させることで、岩場越え時のホイールスリップを抑えたり、坂道発進をスムーズに行える未来が垣間見えます。
さらに、キャビン内の騒音振動が抑制されることで、長距離移動時の疲労軽減にも期待できます。ダート走行後のメンテナンス時に、異音発生の兆候にも気付きやすくなるかもしれません。
ランクルの“シーラカンス”が電動化という新たな海を泳ぎ始めた今、トヨタの挑戦に拍手を送りつつ、実力と懸念をしっかり見定めた上で、この歴史的モデルを味わいたいと思います。