【解説】ダイハツ ムーヴ、待望の7代目新型モデル登場へ – 2025年5月22日現在の最新情報と展望
2025年、日本の軽自動車市場において長らくその名を知らしめてきたダイハツの基幹車種「ムーヴ」が、いよいよ7代目へとフルモデルチェンジを遂げる見込みです。ダイハツ工業(以下、ダイハツ)における認証不正問題の影響で、当初の計画から大幅な遅延を余儀なくされましたが、2025年5月12日には待望のティザーサイトが公開され、先行予約も開始。正式な発表・発売は2025年6月と予告されており、軽自動車市場、そしてダイハツの再起にとって極めて重要な一台となることは間違いありません。
本記事では、2025年5月22日現在までに明らかになっている7代目新型ムーヴの情報を整理し、その注目点や市場への影響について掘り下げていきます。
1. 発表・発売スケジュールと背景 – 苦難を乗り越え、ついに市場へ
新型ムーヴの開発は、ダイハツの認証不正問題が発覚する以前から進められており、当初は2023年にも市場投入される計画でした。しかし、この問題により開発および発売スケジュールは大幅な見直しを迫られ、一時はその登場自体が危ぶまれる声も聞かれました。
しかし、ダイハツは再発防止策の実施と国土交通省による厳格な確認プロセスを経て、順次生産・出荷を再開。そして、満を持して2025年5月12日に新型ムーヴのティザーサイトを公開し、先行予約を開始しました。正式な発売は2025年6月が予定されており、一部販売店では「6月上旬」や「6月5日」といった具体的な日程も囁かれています。これは、ダイハツが認証不正問題以降、初めて市場に投入する完全新型モデル(フルモデルチェンジ)であり、同社の今後の信頼回復と事業再生を占う上で、極めて象徴的な一台と言えるでしょう。
2. 最大の変革点 – ムーヴ史上初となる「スライドドア」の採用
7代目新型ムーヴにおける最大の注目点は、歴代モデルで堅持してきたヒンジドアから、ついに「スライドドア」を採用する(あるいは採用するグレードを設定する)ことです。ティザーサイトでも「待望のスライドドア採用!」と大々的に謳われており、これが新型ムーヴのキャラクターを大きく変える可能性があります。
これまでムーヴシリーズでは、派生モデルの「ムーヴ キャンバス」が両側スライドドアを採用し、子育て世代を中心に高い支持を得てきました。本家ムーヴがスライドドアを採用することで、直接的なライバルとなるスズキ ワゴンR(一部スライドドアモデルあり)や、さらにはスーパーハイトワゴン市場の王者であるホンダ N-BOXやスズキ スペーシアといった強力な競合とも、ユーティリティ面で真っ向から勝負できる体制が整うことになります。
ただし、ティザー情報などからは、全車電動スライドドアなのか、一部グレードや片側のみなのか、あるいは手動式が基本となるのかなど、詳細な仕様はまだ不明です。スライドドア化による車両重量の増加や価格上昇をどこまで抑えられるか、そしてヒンジドアモデルが併売されるのか、といった点も注目されます。
3. デザインコンセプトとエクステリア – カスタム廃止と新たなスタイリング
エクステリアデザインに関しては、ティザーサイトでフロントグリルやボディサイドの一部が公開されており、よりスタイリッシュで洗練された印象を受けるものとなっています。情報によれば、2023年に予定されていた初期デザイン案から、アッパーグリルのデザイン変更などフェイスリフトが施されているとのことです。これは、市場の最新トレンドや、おそらくはダイハツの新たなブランドイメージ構築に向けた意志の表れかもしれません。
注目すべきは、長年ムーヴのスポーティかつ上質なキャラクターを担ってきた「ムーヴカスタム」が廃止されるという情報が有力である点です。そのデザイン要素や上質感は、新型ムーヴの標準モデル(あるいは上級グレード)に集約・昇華されると見られています。これにより、標準モデルのデザイン自由度が増し、より幅広い層にアピールするスタイリングが期待されます。ヘッドライトはシャープな造形となり、全体として引き締まった、モダンな軽ワゴン像を提示してくるでしょう。
4. インテリアとユーティリティ – スライドドアが生み出す新たな価値
スライドドアの採用は、インテリアの設計思想やユーティリティにも大きな影響を与えるはずです。特に後席へのアクセス向上は確実で、小さなお子様やお年寄りのいるファミリー層にとっては大きなメリットとなります。ウォークスルーのしやすさや、シートアレンジの自由度なども、スライドドア化を前提とした新たな工夫が凝らされている可能性があります。
内装デザインや質感に関する具体的な情報はまだ少ないものの、ダイハツの得意とする使い勝手の良い収納スペースの配置や、DNGA(Daihatsu New Global Architecture)世代の他のモデル(タントやタフトなど)に見られるような、機能性とデザイン性を両立させたインパネ周りが期待されます。
5. パワートレインとプラットフォーム – DNGA採用とe-SMART HYBRIDの行方
プラットフォームには、最新世代のDNGAが採用されることはほぼ確実でしょう。これにより、軽量高剛性なボディと最適化されたサスペンションによって、走行安定性、操縦性、そして乗り心地の大幅な向上が期待されます。
パワートレインに関しては、現行の軽自動車ラインアップで実績のあるNA(自然吸気)エンジンとターボエンジンの2本立てとなると予想されます。トランスミッションはCVTが組み合わされるでしょう。
そしてもう一つの注目点が、ダイハツ独自のハイブリッドシステム「e-SMART HYBRID」の搭載です。一部報道では、新型ムーヴにハイブリッドモデルが設定されるとの情報(2025年4月10日、日刊自動車新聞など)がありましたが、ティザーサイトや先行予約情報では明確にされていません。市場のニーズやライバル車の動向を考えると、将来的(例えばマイナーチェンジ時)な追加設定の可能性は十分に考えられますが、今回のフルモデルチェンジと同時に搭載されるかは、正式発表を待つ必要があります。
6. 先進安全装備 – 「次世代スマートアシスト」の進化
安全装備に関しては、ダイハツの予防安全機能パッケージ「次世代スマートアシスト」が全車標準装備、あるいはそれに準ずる形で搭載される見込みです。これには、衝突回避支援ブレーキ(対車両・対歩行者)、誤発進抑制機能(前後)、車線逸脱警報・抑制機能などが含まれます。
さらに上位グレードやオプションとして、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)や、軽自動車初となるスマートパノラマパーキングアシスト(駐車支援システム)、レーンキープコントロールといった、より高度な運転支援機能の搭載も示唆されており、安全性能の向上は新型ムーヴの大きな訴求ポイントとなるでしょう。電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドの採用も期待されます。
7. 価格帯とグレード構成 – 競争力のある価格設定に期待
ティザーサイトで公表された情報によれば、新型ムーヴの価格帯は130万円台前半から190万円台となる見込みです。スライドドア採用や先進安全装備の充実化といった商品力向上を考慮すると、これは非常に競争力のある価格設定と言えるかもしれません。
グレード構成については、「ムーヴカスタム」廃止後の新たなラインアップが注目されます。従来のL、X、Gといったグレードに加え、ターボ搭載のRSグレードなどが設定されると予想されます。ボディカラーもモノトーン10色、ツートーン3色の全13パターンと、豊富な選択肢が用意されるようです。
8. 市場における位置づけと展望 – 「国民車」ムーヴの復権なるか
6代目ムーヴは約10年にわたり販売されたロングセラーモデルでしたが、その間、軽自動車市場の主役はN-BOXやスペーシアといったスーパーハイトワゴンへと移り変わりました。7代目ムーヴがスライドドアという強力な武器を手に入れ、デザインや安全性能を大幅に進化させることで、再び軽ハイトワゴン市場の中心に返り咲くことができるのか、大いに注目されます。
特にダイハツにとっては、認証不正問題からの信頼回復をかけた重要なモデルチェンジです。品質管理体制の強化はもちろんのこと、ユーザーが真に求める価値を提供できるかどうかが問われます。新型ムーヴの成功は、今後のダイハツのブランドイメージを大きく左右するでしょう。
まとめ – 正式発表への期待
2025年5月22日現在、7代目新型ダイハツ ムーヴに関して判明している情報はまだ限定的ですが、スライドドアの初採用、デザインの一新、安全装備の進化など、多くの注目すべきポイントが明らかになってきました。長年の軽自動車開発で培ってきたダイハツの技術とノウハウが、この新型ムーヴにどのように結実しているのか、そして「国民車」とも称されたムーヴがどのような新たな価値を市場に提示するのか、6月の正式発表が今から待ち遠しい限りです。